ピーター・ゼルキンさん(米ピアニスト)が1日、膵臓(すいぞう)がんのためニューヨークの自宅で死去、72歳。
47年、ニューヨークで生まれる。母方の祖父はバイオリニストの故アドルフ・ブッシュ、父はピアニストの故ルドルフ・ゼルキンの音楽一家。幼少期から英才教育を受け、11歳からカーティス音楽院で学び始めた。66年に19歳でグラミー賞最優秀クラシックアーティスト新人賞を受賞。指導にも熱心で、マネス音楽院やジュリアード音楽院で人材育成に尽力した。
親日家で、とりわけ小澤征爾さんと深い信頼関係を築き、サイトウ・キネン・フェスティバル松本(現セイジ・オザワ松本フェスティバル)にしばしば招かれた。バッハと現代音楽を得意とし、武満徹の解釈に定評があった。
被爆地である広島との交流もあり、17年には広島交響楽団による恒例のコンサート「平和の夕べ」に参加した。18年には、広島で被爆して亡くなった女学生のピアノを演奏した音源がCDに収められた。昨年11月、東京でのリサイタルとNHK交響楽団との共演を、体調不良で降板していた。(ニューヨーク)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル